今年もReraに寄付しました。そして石巻に10年ぶりに行ってきました。

今年も例年通り、宮城県石巻市で活動するNPO法人移動支援Reraに、ポストカードの売り上げの一部を、赤い羽根共同募金みやぎチャレンジプロジェクトを通じて寄付しました。
今年は合計で52110円です。
レストラン牧舎、東一条ギャラリー、しれとこくらぶ、手作りクレヨン工房tuna-kai様、東京都美術館ミュージアムショップ様、およびネットショップうしのつむじにて、チャリティーポストカードをご購入下さった皆様、本当にありがとうございました!

下記リンクより宮城チャレンジプロジェクトのReraのページへ飛びます。
よければご覧になってくださいね。

いのちをうつす展の作品搬出で東京へ行った後、実に10年ぶりに石巻へ行ってきました。
2011年、2014年にReraのお手伝いに行って以来の石巻でした。

日和山から南浜を眺める

あれからずっとReraの活動の報告は見ていましたし、代表をしている友人の村島さんとも連絡をずっと取っていたので、なんとなく知っているような気になっていた石巻。

2011年の7月に訪れた時は津波の被害の大きさに言葉を失い、避難所やできたての仮設住宅から、病院やお風呂へいく被災者の方たちの送迎。
2014年はまだまだ残るがれきの山を見ながら、仮設住宅とやはり病院の送迎がメインだったように思います。

今回村島さん夫婦にあの時行った場所を車で案内してもらったのですが、大きな仮設住宅団地だった場所は別の建物が建ったり、ソーラーパネルが建っていたり、何もない土地になっていて。それとは別にマンションみたいな背の高い復興住宅が建っていたり。津波でさらわれてしまった低い土地は完全にきれいな公園になっていたり、そしてもう当たり前ですががれきの山もなく、製紙工場の煙突からは煙がもくもくと出ていて、ああ、何も知らされなければ普通の平和な地方都市みたいだなあと、10年という時間の積み重ねを感じました。

津波の被害を伝える施設をいくつか見学しました。
南浜地区のみやぎ東日本大震災津波伝承館では、2011年の津波がいかに強いものだったか、それ以前にも繰り返し津波が襲った歴史などわかりやすく展示してありました。
真新しい円形の建物の、屋根の高さが津波の最大高さだったというのには驚きました。
震災前、南浜がどんな場所だったのかという写真もいくつも展示されていて、ああ、私は震災後の石巻しか知らなかったんだという当たり前の事に改めて気づかされました。
ここにたくさんの家があって、人が暮らしていた時の事を知らず、あの震災後の景色しか知らなかったのだと。
きれいに整えられた公園に、保育所の基礎だけが残されていました。
ここに通っていたこどもたちはみんな山に逃げて無事だったそうです。

みやぎ東日本大震災津波伝承館。この屋根の高さまで津波が来たそうです。
公園の中に残された門脇保育所の基礎

その後すぐ近くにある、津波の後火事で焼けてしまった震災遺構の門脇小学校の向かいにある伝承交流施設MEET門脇へ。
津波を知らない子供たちへの防災教育の場でもあるというこの施設では、こどもの時に被災した方の証言が漫画になっていたり、避難後の行動が命を分けることが分かりやすく展示されていました。
NPOの活動の記録も残っていて、2011年は毎晩たくさんのボランティア団体の報告会が行われていて、私もそこに一度だけ行った記憶があるのですが、その時のReraの報告書が残っていてそれを発見したり…。2011年当時本当にたくさんのボランティアが活動していたのを写真を見て思い出しました。Reraのように今もずっと継続して石巻の問題に向き合い続ける団体は少ないかもしれませんが、それぞれの団体や個人が、被災地に来て活動していった記録が、またあらたな災害が起きた時に確実に引き継がれていくのだという頼もしさも感じました。

MEET門脇と、奥に見える震災遺構門脇小学校
レラのポロシャツも展示してありました。持ってる!
ここでつい買ってしまった、有名なあの缶詰。


どこに行きたい?と聞かれてずっとひっかかっていたのが大川小学校と雄勝でした。

大川小学校はさんざんニュースにもなりましたから、おそらくご存じの事と思いますが、北上川の河口近くにあった小学校で、ほとんどの生徒が逃げ遅れてしまった場所です。
2011年、Reraの送迎の合間に、確か神戸から来ていた熟練ボランティアのおじさんと、もう一人のボランティアの人と、見に行ったのでした。
2011年に行ったときは写真はほぼ何も撮りませんでしたが(撮れなかった)、鮮明に覚えている場所です。
津波の威力でねじ曲がった鉄筋。どれだけの強さのエネルギーだったか。
この場所を残すことについては賛成意見ばかりじゃなかったと聞きます。
新しい伝承館に、被災以前の写真が残っていました。
学校だけでなく、集落ごと消えてしまった事。
海側から、川から、2方向から津波が来たこと。
私がこの学校の先生だったとして(教員免許を一応持っていますから他人事ではないですね)、裏山の急な斜面に避難する指示を、はたして出せただろうか。

震災遺構大川小学校



雄勝、女川は、地形的に津波の被害が激しかった場所で、美しい湾の周りにあったはずの町があらかたなくなってしまっているのを見て、2011年当時強く衝撃をうけました。
雄勝は硯の産地なんだよ、と確か地元のボランティアの人に当時教えてもらって、まったくピンとこなかったのですが、硯の産地というのはすごく印象に残っていて、いつかここで硯を買うぞと思っていたのでした。

三回目の雄勝は、高い防潮堤と、かさ上げされた場所に立つきれいな雄勝の石(スレート)をあしらった復興住宅、大きな道の駅と雄勝硯伝統産業会館というこれもスレートで覆われた立派な硯の伝統文化を伝える施設がありました。
雄勝の硯は室町時代から続く産業で、かつては国内の9割のシェアを誇った事もあったとか。
私が小学生の時に使っていた硯も雄勝の石だったのかもしれません…(そういえば私は小学校の頃何年も習字を習っていたのでした、今思い出しましたが)。
一緒に回って下さった方のご縁で、雄勝の地元の方にお会いして少しだけお話を伺う事もでき。

実際に被災していない私は、災害は最後は復興して終わるんだとぼんやり思っていたけど、「復興」とは元通りになることじゃないし、住んでいる人達の思いももちろん人それぞれで、ふるさとを思う気持ちも人それぞれで。
私は被災した後の石巻しか知らないことが本当に悔しいなと思いました。
被災前の石巻に、雄勝に来ておきたかったな。
硯を一つ自分へのお土産に買いました。
ちゃんと墨を擦って、使ってみようと思います。

高い防潮堤に覆われた美しい雄勝湾
自分へのお土産。


その後夕方になってから女川へ行き。
少ししか見られませんでしたが、女川はとてもきれいにリデザインされた素敵な街に変貌していました。
新しくできた商店街は土日は観光客でにぎわっているのだとか。
新しい駅も温泉付きでとってもおしゃれでした。
スーパーには女川産の魚がたくさん並んでいて。
でもきっとここまで来るのにたくさんの人の苦労や努力があった事でしょう。
それでも被災した交番の建物がものすごい力で押し倒されたまま移築されており。
被災の記憶を忘れない事が、新しい被害を防ぐことになるという、強い意志を感じました。

温泉付きの女川駅。温泉の中のタイル画もシンプルかつかわいかったです。
スーパーおんまえや。2020年に店舗を再建したばかりだそう。近所にあったら通いたい。

私は10年ぶりに来たけれど、10年ここで頑張ってきた人たちがいて、それぞれの思いと行動があって、今があるんだと改めて思いました。そして、これからも「復興」は続いていくことも。

案内してくれた村島さん夫婦と毛利さん、Reraの伊藤さん、本当にありがとうございました。

最後に美味しいもの情報。地元の毛利さんお勧めのそば処もりやのカレー南蛮そばがめっちゃ美味しかったです!!中のおそばが茶そばで、ほんのり甘くて初めて食べる味でした。こういうのは地元の人に教えてもらわないと食べられないやつです。

これぞ地元グルメ!


そんなわけで、長々書いてしまいましたが、10年ぶりに石巻に行けてよかったです。
もうすぐ東日本大震災から14年。それでもReraが石巻で必要とされる限りは、ずっと応援しようと思います。

観光に行って、美味しいもの食べて、震災遺構で自分の身にも降りかかるかもしれない災害に思いを馳せる、という旅行プランはきっと良いものになると思います。ぜひ、東北の被災地に今、行ってみてほしいです。

そして最後になりましたが、能登の震災について。

本当に日に日に信じられないような被害をいまだ目にするような毎日で、被災した方々はどんなお辛い気持ちでおられるかと思うと自分の無力感に苛まれますが…。

どうか少しでも健やかに過ごしてくださいますように。

そして現地で活動している方々には本当に頭が上がらない思いです。

きっと長い戦いになると思いますので、私も少しずつできることを探りつつ、現地の状況に関心を持ち続けたいと思います。











「いのちをうつす―菌類、植物、動物、人間」展、会期終了しました。

新作の891全身図。

1月8日、東京都美術館で開催されていた「いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間」展が閉幕致しました。

会期中、約2万人ものお客様に足をお運び頂きました。

まさかこんなにたくさんの方に来て頂けるとは、びっくりです!
上野というみんなが来やすい場所で、東京都美術館という親しみやすい場所で、作品を展示できたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

描かれた生き物たちの姿をとおして、人間とはなにか改めて問われるような、この素晴らしい展覧会に参加できて、心から光栄でした。

お越しくださった皆様、応援してくださった皆様、いのちをうつす展の参加作家の皆様、お世話になった都美術館の皆様、ミュージアムショップの皆様、対談に快く応じて下さった遠藤秀紀先生、モデルになってくれた牛たち、職場の皆様、本当に本当にありがとうございました。

今年はもう企画の展示はなくて、いつもの荒川版画美術館、網走市立美術館常設展、ワタシノでの展示のみになる予定です。

来年以降の展示に向け、今年はひたすら制作する一年になります。

ここで本当にたくさんの方に見て頂けた事を励みに、精進していきます!

2024年もよろしくお願い致します。

今年の年賀状。井上牧場のガンジーさんをモデルにさせて頂きました。

2024年もどうぞよろしくお願い致します。

東京都美術館で開催中の「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」展、今日1月4日から、1月8日までの会期となっております。
会期最後の5日間、どうか多くの方に見て頂けますように。

https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_uenoartistproject.html

元日に起きた令和6年能登半島地震で被害に合われた皆様方に心からお見舞い申し上げます。
日に日に明るみになる被災状況に本当に言葉を失っております。
どうか一日も早く日常の日々が戻りますように。
私も寄付など継続的にしていけたらと思っています。

2023年もお世話になりました。

斜里岳と牛

2023年も、あっという間に大みそか。

振り返ってみれば、3月のNorth Print 展に始まり、小清水町の新庁舎ワタシノに作品を設置して頂いたり、香港のQuiet Galleryでグループ展、東京都美術館での「いのちをうつす」展に参加させて頂いたり。そして例年通りの荒川版画美術館、東一条ギャラリー、網走市立美術館さんにもお世話になりつつ。

本当にありがたい事に、今までずっと続けてこれたことが実ったような一年でした。

夏は都美術館で展示した新しい大作づくりでいっぱいでしたが反省点もいろいろあり、それを踏まえつつ、来年はまた新しい作品作りに励みたいと思います。
さらに研鑽を重ね、良い作品が作れるように精進したいです。
そして新しい事にもチャレンジしていきたい!

本当に本当に、今年もたくさんの方々に世話にお世話になりました。
皆様心から、ありがとうございました。
ブログやSNS通じて応援して下さった皆様も。

どうぞ、良いお年をお迎えくださいませ。

来年は、どうか平和で、皆様に良いことがたくさんある一年でありますように。

開催中の東京都美術館の「いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間」展の会期は年明け2024年1月4日から、8日までの残り5日となっております。
残り僅かの会期ですが、もし行かれる方は開館日など注意してお越しくださいませ。

https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_uenoartistproject.html

今年の荒川版画美術館の作品展示が終了しました。

2023年の荒川版画美術館の私の作品展示は終了しました。
また来年の春に!
レストラン牧舎は12月25に日まで営業していますよ~。

また、東一条ギャラリーの冬至祭も終了致しました。
温かく、楽しい展示でした。来て下さった方、ギャラリーのお二人、ありがとうございました。

雪が積もった荒川版画美術館。
東一条ギャラリーの展示風景。グッズなど展示して頂きました。

いのちをうつす展、会期残りわずかになりました。

ついこの間始まったと思っていたのですが、あっという間に「いのちをうつす」展の会期が残り僅かとなっております。
年内は12月19、20日の2日間、21日から1月3日まで美術館が休館になりまして、年が明けて1月4日~8日まで。年末年始のお休みが長いので、数えてみたら残りの開催日は7日間ですね。

バタバタしていて展覧会自体の感想を書けていなかったので。

対象物への愛と好奇心、それに冷静な観察眼が描き出す作品たちは見応えたっぷりで、本当にゆっくり時間をかけてみてほしい展覧会になっております。

小林路子さんのきのこの絵が使われたエントランスのポスター

会場のエスカレーターを下りて、すぐ目に入るのは小林路子さんのきのこの絵画。
都内出身の小林さんは、本の仕事で偶然きのこに出会ったとの事。
繊細に描かれたきのこと、生えている環境の落ち葉や木の肌、時には虫たち。
それに一つの絵ごとに添えられた小林さんの文章がとても秀逸なのです。
基本描かれたきのこの説明なのですが、きのこに魅せられ観察し、そのきのこを追い、時には口にし、よくよく知る人ならではのユーモアがにじんだ文章についクスっとさせられてしまいます。
それにしても、世の中にはなんと豊かなきのこの世界があることか。
たまにみかけるきのこから、見たこともないような不思議なかたちのきのこ、身近なシイタケまで…。見とれたり感心したりしながらあっという間に時間が過ぎていきます。

小林さんのきのこと並行して展示されているのが、内山春雄さんのバードカービング。
本物そっくりに彫られた小鳥やライチョウたち。
実は野鳥って身近なわりに、あまり近くでまじまじと見る機会ってないですよね。スズメですら。鳥ってこんな形で、こんな風に羽が重なっているのか…それに何より鳥がカワイイ。
たまたま一緒に見ていたお客さんの親子も「可愛い可愛い」言いながら見ておりました。
奥に進むともっと大きな鳥の彫刻が。これはなんと、「デコイ」なんだそう。
恥ずかしながら初めて知りましたが、実際にこの彫刻を増やして自然環境に置いて、その鳥が仲間がいると間違って来ることで、よりよい環境に移ってもらったり、そういう目的で使用されたのだそうです(調べてみたら昔は猟のおとりとして使われたそうですね)。
アホウドリ、こんなに大きいんだなあ…。
アホウドリの乱獲の話をそういえば川﨑秋子さんの小説で読んで大変衝撃を受けたのですが、その後デコイなども使って保護が行われていたと知りなんだかほっとしました。
トキなどの珍しい鳥も、こうしてリアルにバードカービングにしてもらう事で、すごく身近に感じることができて、なんだか嬉しかったです。
内山さんの作品はまだあるのですが、展示順に紹介していこうと思いますので、また後程。

内山さんのデコイと一緒に展示されているのが、辻永さんの植物画です。
和紙に描かれた繊細な植物画。
直接筆で描かれた線を見ていると、本当にずっと植物を見て、よく描いていたんだろうという事が伝わってきます。なにより植物が好きだったであろうことも。
辻さんは1884年生まれ。1974年に亡くなっています。
15歳から植物を描き始め、植物学者になるか迷った事もあったそう。
そこいらに生えている雑草も、旅先の珍しい植物も、同じ目線で丁寧に描かれた絵は、等しく尊い植物たちの姿形をはっきりと私たちの目に知覚させてくれるようでした。
辻さんは弟さんと渋谷で山羊園をされていた時期があるそうで、その時期は山羊の油絵を描き、山羊の画家と呼ばれていたこともあったそう。
山羊の油絵も2点飾られていましたが、自然の光の中でのびのびと暮らす山羊たちが優しい色彩で描かれていて、それもすごく好きでした。

いのちをうつす展図録のカバーは辻永さんの植物画をレイアウトしたもの。色は薄く溶いた油絵具だそう。

そしてエスカレーターをもう一段下りたフロア。
最初に目に入るのは「いのちをうつす」展のメインビジュアルにもなっている今井壽恵さんの写真です。
美しい競走馬たちの肖像。
牧場で、晴れの舞台で、全身の筋肉を躍動させて走る馬たちの姿を幻想的なタッチで描き出す今井壽恵さんの写真は、馬というものをまた新しい視点から見せてくれた気がします。
私自身は意外と馬との密接な接点はなく、あまり馬の事はよくわからないのですが、その気高いともいえる立ち姿に、多くの人が魅せられるのもわかるな…と思いました。
それとこの一瞬の姿をとらえ、フィルムの加工で現実ならざる背景と共にある馬たちのなんとも言えない存在感は本当に独特で、印象に残る写真たちです。
今井さんは写真家として活動し始めてから、交通事故にあい、一時期視力を失ったとか。その回復してきた頃に映画で「アラビアのロレンス」を見て、そこに映る馬の姿に魅せられたのだそうです。人生のテーマとの出会いは、突然に訪れる。

今井壽恵さんの作品「対称」

その馬たちの奥に、恐縮ながら私の作品の牛たちがいて、その向こうにいるのが(居る、と言いたくなります)阿部知暁さんのゴリラの絵画たち。
まさにゴリラたちの肖像画というべき、大きな正方形のキャンバスに、ちゃんと名前の付いた個性豊かなゴリラたちが描かれています。
驚いたのは、ゴリラの姿形の個体差!当たり前と言えば当たり前の話ですが、みんなしっかり顔も体型も違うんですよね。
人間だって牛だって違うんだから、ゴリラだって違うのは当然ですが、知らない事というのは本当に解像度が低いものですね。
各々の性格までにじみ出るような、個性的なゴリラたちの向かいに、絵本「ゴリラが胸をたたくわけ」(山際寿一・文 阿部知暁・絵)の原画が展示してあります。
この絵本がまたとても良いのです。程よい具合にデフォルメされたゴリラたちが活き活きと描かれていてとっても魅力的。
それに内容も素晴らしい…。いかにも怖そうな見た目、と誤解されがちなゴリラのなんとも賢く、好奇心に満ち、平和的な生態。
人間も、少しゴリラを見習った方がいいかもしれませんね…。
ちなみにこちらの絵本はミュージアムショップの方で販売されておりますよ!

阿部さんのゴリラを描くきっかけになったともいえる、上野動物園に最初に来たゴリラ「ブルブル」

そして最後にまた内山春雄さんの作品。
タッチカービングという、触ることができる白い鳥の彫刻がたくさん並んでいます。
そして、貸し出される機器で、それらの鳥たちの鳴き声も聞くことができます。
目の見えない方々はもちろん、私たちも鳥に触れる機会なんてめったにないですから、なでたり鳴き声をきいたりしているとあっという間に時間が過ぎていきます…!

内山春雄さんのタッチカービング作品。繊細な羽の重なりなどさわって確かめられるのは貴重な機会。

他の作家さんの作品を見たり、図録の文章を読んだりして、生涯をかけて追及したくなるようなテーマに出会えることのありがたさを改めて感じましたし、私ももっと続けていって、作品をどんどん蓄積していきたいと改めて思いました。

私が牛というテーマに出会ったのは、予備校時代から続けていた内面世界を描くような絵に限界を感じていた時でした。世の中の幻想的な絵画に憧れ、真似をしてみたものの、私の内面にそんな作家たちの描くような世界は無かったと、気が付くのに3年くらいかかってしまいましたね。
ワンダーフォーゲル部で登山を続けるうちに、ただそこにある自然(自分の身体も含め)が実はとても観察のしがいのある、世界を知るための第一歩ではと思うようになりました。
山頂から見る、宇宙とつながっているような広々とした世界の一部である自分、という感覚が生まれた時に牛に出会い、牛という一つの動物を描く事もまた意味のある事であるように感じました。
きのこの小林さんもゴリラの阿部さんも、幻想的な絵画を描いていたところから一つのテーマを追求するに至ったと書いてあり、ちょっと共通しているな、と思いました。不思議ですね。
他の作家さんたちともゆっくりお話ししてみたかったです。

同時開催の「動物園にて」展もすごく興味深いので、ぜひ見て頂きたいです!
上野動物園ができた経緯や、戦争中の動物園の話など、普段意識していなかった動物園の歴史に触れ、動物と人間の関係性に思いを馳せることのできる展覧会となっています。

なごり惜しいですが、残りの会期、作品たちが皆様に見て頂けますように。







東一条ギャラリー「冬至祭」参加します

東一条ギャラリー「冬至祭」今年も参加します!
小さな絵展から引き続き、木口木版画一点を展示販売させて頂きます。
マスキングテープなどのグッズもございます。
クリスマスプレゼントを探しに、出かけてみてください~!

東一条ギャラリー「冬至祭」
12月2,3、9,10,16,17日 am11:00~pm4:00
086-1041 中標津町東1条北1丁目16番地 2階

東京都美術館「いのちをうつす―菌類、植物、動物、人間」展始まりました

11月16日から、東京都美術館にて上野アーティストプロジェクト2023「いのちをうつすー菌類、植物、動物、人間」が始まりました。

上野公園内、上野動物園のお隣の東京都美術館。大きな企画展が行われている展示室の入り口の右手側に入り口があります(公募展の展示室もたくさんあるので、迷われたときは係の方に聞いてみてくださいね)。

エスカレーターで地下に下りながら2フロアーに渡って展示室があります。

私の作品は一番下のギャラリーAという場所にあります。

今回の私の展示作品は10点。最新作「891全身図」は阿部知暁さんのゴリラの作品の奥にありますよ…!

なんとか間に合いました…!黒々と、大きな牛です。

きのこの絵の小林路子さん、植物画の辻永さん、バードカービングの内山春雄さん、馬の写真の今井壽恵さん、ゴリラの絵画の阿部知暁さん、どの作家さんの作品も対象に肉迫したものばかりで、とても見応えのある展覧会となっています。ゆっくり時間をもって観覧するのがお勧めです!
同時開催の「動物園にて」展も、日本の動物園の歴史、人と動物の関わりを振り返ることのできる大変興味深い展覧会となっております。

「いのちをうつす」展の図録もございます。嬉しいですね!
会場入り口で1800円で販売しております。私の展示作品10点も掲載されています。

ミュージアムショップでは、関連グッズも販売されています。
私の手ぬぐい、ポストカード、絵本「おかあさん牛からのおくりもの」も販売して頂いております!

11月18日には関連イベントとしまして「ウシと人間」というテーマで東京大学総合研究博物館教授の遠藤秀紀先生と対談させていただきました。

私が一方的に先生のご著書「ウシの動物学」のファンであるという事でオファーさせて頂いたのですが…、正直なところ、私ごときで先生のお相手が務まるのかと、戦々恐々としておりました。事前に打ち合わせで先生の研究室を訪問させて頂き、とても気さくにお話させて頂いたので、ちょっとホッとしつつもやっぱり緊張して迎えた当日でした。

ひたすら遠藤先生にリードして頂いて、なんとか2時間のトークを終えることができました。
先生のユーモアを交えたお話に私も引きこまれつつ、慣れない私の話を引き出していただき、本当にありがたかったです…!
長年気になっていた牛の胸垂がなんのためにあるのかという質問もできました。それで半日講義できるとおっしゃっていた先生…その講義を本当に聞いてみたい。
様々な種類の動物の遺体と日々向き合っている先生のお話は大変に興味深く、絵を描く私と解剖学の、対象をよく見る、という共通点なども感じたり…。
牛の話、生物の話、家畜と人の関わりの話、人生の話など…いろいろなお話ができました。

正直に言うと緊張しすぎていてあまり話した内容を全部は覚えていないのですが、聞いてくださった方にはおおむね好評であったようなので、良かったです…!

遠藤秀紀先生、お忙しい中本当にありがとうございました。
そして会場に来て下さった皆様も、心からありがとうございました!
来場者の皆様があたたかく見守ってくださって、心強かったです。

そして遠藤先生はこのたびミステリー小説家としてデビューされます!
「人探し」
第44回小説推理新人賞受賞作 双葉社より12月20日刊行
https://www.futabasha.co.jp/book/97845752470390000000?type=1

知の巨人の好奇心は本当に計り知れないですね…絶対買って読みます!!

ちなみに今回遠藤先生の他の著作なども拝読し、先生の作られた標本がたくさんある国立科学博物館の常設展、40年ぶりに上野動物園にも行ってみました(遠藤先生は笹をつかむパンダの指の構造を発見された事でも有名です)。
人類を含めた地球上の生き物の進化の歴史と、動物をよくよく観察し、解剖し、生き物の形の不思議と歴史をひとつひとつ解き明かしてきた人類の自然科学の積み重ねに思いを馳せることができ、本当に良い機会になりました。

という事で、1月8日までの会期、どうぞよろしくお願い致します。https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_uenoartistproject.html

企画展示室で開催中の「永遠の都ローマ展」は12月10日まで。
こちらも日本ではめったに見られないローマの名作が揃っています!
ローマ展にも興味のある方はお急ぎくださいね。

東一条ギャラリー「小さな絵」展に参加します

今年も東一条ギャラリーの「ちいさな絵」展に参加します。

私は木口木版画1点と、水彩画一点展示します。グッズも含め販売もしています。

あたたかい展から数えて15回目の秋の展覧会。毎年開催は今回で一度節目となり、来年からは不定期開催となるそうです。
ちょっと寂しいですが…ぜひお時間ある方はお越しくださいね。

「ちいさな絵」展

2023年11月4.5.11.12.18.19.25.26日(土、日曜日)
am11:00~pm4:00
東一条ギャラリー
086-1041 北海道中標津町東1条北1丁目16番地2階


いのちをうつす展詳細です。

11月16日より東京と美術館にて開催される
上野アーティストプロジェクト2023
いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間 展の詳細が発表になっています。


関連イベントもいろいろあるのですが、私はなんと動物遺体研究者で東京大学総合研究博物館教授の遠藤秀紀先生と対談させていただく事になっております…!
最初はただ可愛いなという目線でしか牛を見ていなかった私に、動物としての牛のすごさを教えてくれたのが遠藤先生のご著書の「ウシの動物学」でした。
牛に胃が4つあるという事はぼんやり知ってはいましたが、その仕組みをしれば驚くばかり、大地を誰よりも早く駆け、硬い植物もどんどん自分の血肉に変え、あんな大きなお乳のタンクを持つポテンシャルを備えた、まさに牛は大地の覇者だったのです…!

ラジオのゲスト出演で先生のわかりやすいお話を聞いたという方もいらっしゃるかもしれませんね。

という訳で、私なんかに対談が務まるのかというおこがましさは十分承知で、牛についていろいろお話させて頂くのを楽しみにしています!

参加は申し込みが必要になります。10月14日より受付開始予定だそうです。

トーク①
ウシと人間
『ウシの動物学』(初版2001年、第2版2019年、東京大学出版会)等の著書がある動物遺体研究者の遠藤秀紀氏と、ウシの木版画を作る冨田美穂氏に、ウシと人間との関係について対談形式でお話いただきます。

日時11月18日(土) 14:00~16:00
出演遠藤秀紀(東京大学総合研究博物館教授)×冨田美穂(「いのちをうつす」展出品作家)
会場東京都美術館 講堂
定員200名
※参加費無料
※事前予約制(先着順で定員に達し次第申込締切)


他にも興味深いイベントがいっぱいですので、ぜひ詳しくは都美術館のウェブサイトをご覧ください。

https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_uenoartistproject.html

上野アーティストプロジェクト2023
いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間

2023年11月16日(木)~2024年1月8日(月・祝)

東京都美術館 ギャラリーA・C

9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)

〒110-0007
東京都台東区上野公園8-36

同時開催の「動物園にて」展も面白そうです。
この秋、都美術館で生き物の作品を満喫できそうですね。

https://www.tobikan.jp/exhibition/2023_collection.html