作品NO.1  2007 木版画 「388正面図」


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「388正面図」 2007 133cm×69cm 板目木版画
388は以前勤めていた牧場にいた牛です。 388の本名は、ポーテージ スタンレイ ティー。誕生日は1996年7月6日。私が出会ったころは、もう10歳にもなる、乳牛にしては長生きの、その牧場でも長老の牛でした。
牛にも人間とおなじように、いろんな性格があるわけですが、388は、いつもどっしり構えた、長老らしく動じない牛でした。
私が近寄っても、「ああ、また来たのね」という視線をチラッと投げて、一応においはかいでみるものの、またすぐ反芻を始める、そんな牛。私がなでたりさすったり話しかけても、あんまり喜んだりもしないけど、拒みもしない、いつもそばにいることをおおらかにゆるしてくれる。
よく牛舎の388のところに行きました。
言葉は通じないけれど、388はただ、その黒くて大きい瞳で見ていてくれました。
それが、私には、なによりありがたかったものです。

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部分
シナベニヤに彫刻刀で彫って、ばれんで和紙に刷っています。

略歴。


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まずは自己紹介。
冨田美穂
1979年東京都生まれ
2004年武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画コース卒業
それ以降、北海道で牛にかかわりながら、牛の版画を作っています。
2008年から、中標津町
佐伯農場
にある、「荒川版画美術館」で作品を展示させてもらっています。
2010年の10月に、中標津町の
東一条ギャラリー
で個展を開きました。
本当はホームページをつくればいいのでしょうが、そんなこと言ってたらいつになるかわからないので(笑)、ブログですこしずつ、作品を紹介したり、制作のことについて発信していけたらなと思っています。